ソフトバンクグループが7月18日、イギリスの半導体設計大手企業「ARMホールディングス」を3.3兆円(240億ポンド)で買収することで合意したことを発表しました。ARMはiPhone、Xperia、Galaxyなどのスマートフォン向けCPUを設計し、ライセンスを他社に供与するビジネスモデルを構築しています。
ARMとは
ARMはスマートフォン向けの半導体を設計するイギリスのメーカーです。ARMが設計した半導体(CPU)は、Qualcomm、Samsung、Apple、MediaTekにライセンス供与されています。それらのメーカーは、ARMが設計した半導体を基に、CPUを開発・製造を行い、各スマートフォン・タブレット製造・開発会社に販売しています。Appleであれば開発したCPUをiPhoneやiPadに搭載し、ソニーであればQualcommやMediaTekから購入したCPU(Snapdragonなど)をXperiaに搭載し、販売しています。
ARMの半導体は今日のスマートフォン・タブレットの8割以上に搭載されており、モバイル端末における「Intel」のような存在です。
ソフトバンクグループが3.3兆円でARMを買収する意味とは?
ソフトバンクグループがARMの買収にかける費用は最大で約240億ポンドと言われています。これを日本円に換算すると約3.3兆円になります。アメリカの携帯電話会社"Sprint"を買収する際に掛かった費用が約1兆6000億円。ARMとSprintを比較すると、ソフトバンクグループはSprintの買収時の約2倍の金額を出して"ARM"を買収することになります。
ソフトバンクグループにとってみれば、過去最大の買収案件となります。ARMを買収する理由としては、「今後、成長を見込めるIoT(Internet of Things :あらゆるものがネットに繋がる)ビジネスを勝ち抜くために、戦略的な投資に踏み切った」としています。また、ソフトバンクグループではARM買収の利点について以下の5点を挙げています。
1. 知的所有権に係るライセンスの提供および半導体企業の研究開発受託におけるARMのグローバルリーダーたる地位をサポートし、さらに強固なものにできる。
2. ARMのイノベーションへの傾注を維持できる。
3. ARMが次なるイノベーションの波を起こすための投資を拡大することができる。
4. 共通の文化と長期的視野。
5. 科学技術分野における英国の先導的地位を維持し、成長させることができる。
PC Watchより引用
ARM買収に伴い、ARM社はソフトバンクグループ傘下に収まりますが、独立経営かつ現在と同じくイギリス・ケンブリッジを本拠地であることは変わらないと述べています。